自分で自分の可能性を狭める人間

こんばんは、ばたすけです。
私には薬剤師をやっている弟がいます。

その弟の話ですが‥‥
薬科大卒業と同時に、京大大学院に入るつもりでいましたが、試験に落ちました。
本人は大学院に行くつもりだったので、薬剤師試験も落ちています。
箸にも棒にもかからない状態となりましたので、再度京大大学院を受験するため1年浪人しました。
本人には「やりたいことがある」らしく、その研究ができるのは日本では京大、東大、北陸大の3つしか無いんだそうです。
で、それならその3校全部受験するのかと尋ねると‥‥
「そんなもん、絞って勉強せんと合格できるわけがないやろうが」
‥‥と言って、京大しか受験しないというのです。
確かに、傾向と対策ってのはあるでしょうけど、数打ちゃ当たるって言葉もありますし、どうしてもやりたいことがあるのなら、なりふり構わず、手段を問わず挑戦するのが普通なんじゃないかと思うんですけども、それを指摘すると‥‥
「大学院を受験したことのないお前には解からんのじゃ」
‥‥と怒るんですね。
取り付く島がありません。
ま、勝手にしてくれと放っておいたら、やっぱり今回も大学院には合格できませんでした。
仕方が無いので、薬剤師免許はしっかり勉強して合格し、彼は門前薬局で働くことになりました。

門前薬局で働き始めて数年が経ちました。
薬局のオーナーに気に入られ、(オーナーには子供がいないため)「薬局を継いでくれないか」と言われたのですが、「どうしても研究がしたい」と言って彼は薬局を辞めました。
今度は保健所に入るというので、1年浪人して公務員試験のお勉強です。
彼が提案を蹴った薬局は門前薬局を4店舗構えて経営は真っ黒クロの薬局です。
オーナーさんは「気が変わったら言ってきてくれ」と言っているので、私は「この話を蹴るのは勿体無い」と言ったのですが‥‥
「薬局の経営は今後厳しくなっていくんじゃ、今は良くてもこれからどうなっていくか判らんやろうが
それに、俺は薬局がやりたいんじゃなくて、研究がやりたいんじゃ」
‥‥と言って、薬局を継ぐという選択肢は無いと言うのです。
でも、やってみないと判らんじゃないか、栄えるも滅ぶも自分の腕次第だろうと言うと‥‥
「薬剤師じゃないお前には解からんのじゃ」
‥‥と怒るんですね。
取り付く島がありません。
公務員試験なんて、そうそう簡単に合格できる時代でもないというのに、まったくチャレンジャーなことです。
ま、勝手にしてくれと放っておいたら、やっぱり公務員試験には合格できませんでした。
仕方が無いので、彼は病院の薬局で働くことになりました。

病院の薬局で働き始めて数年が経ちました。
ある時、彼は私に電話をかけてきてこう言うのです‥‥
「社会人枠で阪大を受験しようと思うんだけど、どう思う?」
‥‥どうと言われても、本人がやりたいならやれば良いだけのことだと思うのですが。
「阪大に入ったら、やりたいことができるのか?」と尋ね返すと、答えは「判らん」とのことでした。
彼ももう27歳になり、結婚するかもとかなんとか言っています。
「あのさぁ、普通の人間は27歳にもなったら、どうやって死ぬまでの稼ぎを確保するかってことに頭を砕くもんだよ。
どうしてもやりたいことがあって、万難を排してチャレンジしたいってことなら頑張れって言うけど、
やりたいことができるかどうかも判らないって言われたら、挑戦すべきだとは言えないわなぁ」
と言うと、「そうか、賛成はしてもらえないか」と言って電話が切れました。
(私は変なこと言いましたかね??)

数ヵ月後、弟が結婚するという連絡を親から受けたのですが、弟が阪大で研究生になったという話も併せて聞きました。
もう訳が判りません。
あわてて弟に電話したところ、勤めている病院が阪大と共同研究することになって、病院から研究のために阪大に派遣されているとのことでした。
「もしかしたら、研究の内容が雑誌に載って、それに自分の名前が載れば、研究の仕事ができるようになるかもしれないしなぁ」
とか言います。

いい加減、夢を見るのは諦めたらどうかと思うのですが。
いや、夢や希望を持つなという意味ではなく
「血反吐を吐くような努力をしないで幸運が向こうから舞い込んでくるのを待つようなことは止めろ」
という意味です。

そんなに研究の仕事がしたいのであれば、四大からやり直せば良いんです。
センター試験受けて京大に入って、京大大学院に進学して、博士課程に進めば良い。
そうすれば、彼の言う「やりたいこと」ができるでしょう。
幸い、薬剤師免許を持っているので、バイトには事欠きません。
京大の大学院に入ろうと思うような学力があるなら、センター試験なんて屁でもないでしょう。
ウジウジグジグジと実現性の低い選択を続けるくらいなら、最初からやり直した方が早いし確実です。
しかし、それを言うと‥‥
「そんなこと言うけど、京大に入るのも難しいしからなぁ」
‥‥と、難しいのでやる気は無いんだそうな。

もう何を言っても無駄だということがよ~~~~~~~~~~く判りました。
「やりたいことがある」とは言うけど、それをする為にすべてを投げ打つ勇気も気力も気概もない。
やりたいことをするために、必死で努力する決意も気力も気概もない。
他人にアドバイスされても四の五の言い訳するだけで、試すこともしない。
これじゃ、どうしようもないですわ。

まぁ、端的に言えば「弟と話しているとイライラする」という話ですが、実は言いたいことはそれではありません。
うちの弟と同様に、最近「自分はこうだから、こうじゃなきゃ駄目」と自分で決め付けて、自分の可能性を自分で狭めている人間が多いような気がします。
偏屈を通り越して、一種の自己催眠ですよね。
で、そういう人間に限って、同種の人間の集まりに参加して傷を舐め合っていたりするんですよ。
後ろ向き人間同士が話し合っても、何も生まないと思いますが。
「あなたに必要なのは自己啓発セミナーなどに参加して前向きな思考を身に着けるなどの意識改革をすることなんじゃないの?」と私なんかは思うのですが、どうでしょうかねぇ?
可能性が提示されても、自分でそれを拒否する訳ですから、傍から見ていると自滅以外の何者でもなかったりするのですが。

ま、そういう人は何を言っても聞く耳持たないので‥‥こうやってブログでグチってみましたとさ。
長文にお付き合いくださいまして有難うございました。