暫定基準値とTPP

こんばんは、ばたすけです。

どうもこう、JAに限った話ではないのですが、食品の放射性物質の暫定基準値への対応と、TPP参加反対の主張に論理的一貫性を感じないんですよね。

個人的には「安全に対する規制が緩い方に倒れるのなら反対」とだけ最初に書いておきます。
なので、TPPに反対するなら、暫定基準値をもっと厳しくすべきだと主張するのが筋だと思ってます。

何の話かと言うと‥‥
現在の暫定基準値に従うと、食品だけで被ばく量は国際基準の年間1ミリシーベルトを超えてしまいます。
食品以外、飲料水や空間線量も勘案すると、軽く数ミリシーベルトになってしまいます。
これは国際的に見て「安全」と言える状況ではないです。

なのに、日本政府はこの基準値を「国際指標の1ミリには根拠が無い」と言って緩和しています。
非常時だから仕方が無いとか言っている人もいますが、よく考えてみましょう。
「国際的に1ミリ以下」なものを、日本だけが5ミリ以下だの20ミリ以下だのと言ってしまうことの影響を真面目に考えたことはありますか?
他国からしてみたら、自国の基準より5倍も20倍も緩い規制の物を「安全だ」と思えるはずがないですよね。
こんな状況では、食品に限らず輸出産業が成り立つはずがないですよね。
どう考えても「日本の製品は安全ではない」のですから。

よく「風評被害」と言いますが、これは日本自体が引き起こしている問題であって、風評でもなんでもないですよ。
単なる自爆です。

いつだったか、ヨーロッパに輸出された静岡産の茶葉から規制値を超える放射線が検出されたというので、輸入禁止になりましたが、それに対して静岡県知事が
「日本の検査で問題が無いことが確認されていますので、安心して輸入して欲しい」
とか言っていました。
もうなんというか、これだけを聞いているとただのアホですよね。
基準値は各国毎にあって、それに適合しなければ輸入しないのは当然です。
日本の基準に引っ掛からなくても、外国の基準に引っ掛かれば、それは「問題がある」のです。
「問題がある」から「改善してくれ」と言っている相手に対して、「問題ないから買え」なんて言い返すと相手はどう思うか?
そんなことは考えるまでもなく判ることですよね。

「日本は汚染されている(自国の基準を超えている)製品を平気で売り付けようとしている」

訳で、それはつまり「日本製品はとてもじゃないが買えない」ということになります。
静岡県知事はよくこれだけ自分勝手な理屈を振りかざせるものだと呆れてしまいます。

話が逸れました。

さてさて、日本の食品に関する規制はこういう状況です。
これを踏まえた上で、TPPに反対している人の意見を聞いてみて欲しいのですが

「日本の農作物の検疫は外国より厳しいが、TPPに参加したら検疫が緩くなって衛生的に良くない」

と言っています。

これは完全に論理が矛盾していますよね。

「自分達の作ったものはたとえ汚染されていても食べてもらいたいが、食の安全が保てないから海外からの輸入は反対」

ってのはどういう理屈なんでしょうか?
この矛盾点について、反対を声高に主張しているJAや農家はどう説明してくれるのでしょうか。

ちなみに、「国の基準値が年間5ミリ以下だから」とかいう説明は聞きたくないですよ。
国際的には年間1ミリ以下が安全とされていますから。

生活に直結していますので、食品のことばかりが気になってしまうのですが、なぜJAや農家は政府に対して「食の安全を守るために、食品に対する放射線量の暫定基準値を強化すべきだ」と主張しないのでしょうか?
謎過ぎます。

こうやって論理に一貫性がなく、自分にとって都合の良いことばかりを主張するものだから、信用されないってことを理解して欲しいものです。
私は東北や関東の農作物を可能な限り口にしないようにしています。
「安全だと思えない」からです。

消費者は安価で高品質で安全なものを求めている訳ですが、JAや農家の主張と行動はまったくこの逆をいっていますよね。
自分の都合ばかりじゃないですか。
これで「安全です、食べて下さい」と言われて、それが信用されると思われているとすれば、随分とJAや農家は市井の人達を馬鹿にしているなと感じます。

国も圧力団体(支援団体?)の意見に惑わされず、とにかく食の安全を守って欲しいものです。
無駄に高い税金を取るだけで国民の安全を守れないのなら、国なんて要らないんですよ。
まぁ、その国が規制を緩めているので、国として既に役割を果たしていないと言えるのですが。