稼ぎと給与の比率

こんばんは、ばたすけです。

顧客からもらっている金額の何割を給与として支払うべきか??

実戦力と非戦力の人数比率などにもよりますので、一概には言えませんが、私は会社勤めをしている時に
「最低でも、もらっている給料の倍額を稼がなければいけないんだよ」
と聞かされていましたので、そう思っています。

最近は一つのプロジェクトの期間が短くなり、設計構築などの仕事は案件の期間が2~4か月程度になっています。
ひと仕事終えて途切れることなく次の仕事を得られるかというと、必ずしもそうではないので、仕事の谷間というものも気にしなければなりません。
「会社は社員間の相互扶助の組織」だと考えていますので、仕事の谷間は他の社員の稼ぎで養ってもらうということもありますが、新入社員や共通部門などの「稼げない人」の給料のことを考えると、仕事の谷間の無収入期間についても、極力本人に賄ってもらうのが理想と言えます。

で、ちょいと計算してみました。

顧客から60万円もらっているとしましょう。
そのうちの5割ということで、社員に30万円給料として支払います。
賞与は1ヶ月分で1回30万円を年に2回支払うとします。

そうすると、社員の年収は420万円となります。
顧客からもらっている金額は60万円×12ヶ月で720万円です。
ただまぁ、仕事の谷間を考慮して、60万円×11ヶ月に減らして、660万円にしましょう。

さて、この金額を見て「会社はボッタクリ過ぎだ」と思いますか??

会社は給与以外にも色々と負担しなければなりません。
詳細な金額は省きますが、雇用保険、健康保険、厚生年金、児童手当拠出金と、本人負担分を除く会社負担分が必要となります。
他にも、交通費として仮に月額2万円、怪我などに備えて災害共済費として仮に月額2千円等々を加算すると‥‥
会社がこの人のために必要とする金額は概ね510万円となります。

660万円を稼いでいる人に510万しか使わないなんてどうかしている!
150万円は会社がネコババしているのか!!

となるかもしれませんが‥‥

確かに、目に見える個人にかかる固定費はこれに残業代をプラスすると終わりです。
ですが、他にもパソコンなどの仕事道具の購入費、顧客備品を壊した場合に備えての損害保険料、スキル維持のための技術研修の受講料などの非固定費が必要になります。
それ以外にも、共通費として、事務所の家賃や、管理職や共通部門、新入社員などの稼げない人々の給料も捻出しなければなりません。

そうなると‥‥
人数や規模によるとは思いますが、一般論として「給料の倍を稼がなければならない」という話はなるほどと思えてきませんか??

「思えない」という人は、会社を経営してみて下さい。
説明しても理解する気が無いなら、実際に体験してみるしかないでしょう。

ちなみに同じ条件で計算すると‥‥

給与が稼ぎの6割の36万円だと、社員の年収は504万円になります。
会社がこの人のために必要とする固定費は約605万円となります。

給与が稼ぎの7割の42万円だと、社員の年収は588万円になります。
会社がこの人のために必要とする固定費は約700万円となります。

まぁ、稼ぎの5.5割を月給にするというのが妥当なラインじゃないかと思いますね。
とはいえ、これはあくまで1ヶ月に仕事の対価として顧客からもらえる金額が60万円と仮定した場合で、かつ11ヶ月しか仕事がないという前提での話ですから、もっと金額が大きければ共通費は圧縮できるでしょうし、実戦力が多く、非戦力が少なければ共通費が減るので、給与の割合は増やせると思います。

何にしても「稼ぎの7割を給与にするのが普通だ」とか言ってくる人は、もう少し世間を知るべきではないでしょうか。
どんな大人数の企業で働いているんだというか、会社がどれだけ社員にお金をかけていないんだというか、どこから7割という数字が出てきたのか不思議です。
稼ぎが無ければ給与の支払いが不要で、かつ健保年金や交通費の負担が必要ない非正規雇用が相手なら7割支払いも可能かもしれませんが、上述の数字を見れば正規雇用に対してはどう考えても無理でしょう。
正規雇用は稼ぎが有ろうが無かろうが給与を支払わなければならないのですから。

まぁ、こういう話は経営をやっている人間は公にしませんから、判らなくても無理もないとは思いますけども。